法改正や義務化の内容
数年前までは、男性が育休をとる姿というのはあまり見られなかったんじゃないでしょうか?
昨年の厚生労働省の発表によると、男性社員の育休取得率が初めて1割を超えたとのことでした。
その背景には、男性が育休を取得するための制度の改正や、職場の環境の変化、男性が育児に積極的に参加するということ自体に対する、周りの人々の理解が進んだ証拠かもしれません。
そのような昨今ですが、2022年4月に、男性の育休に関する法律の改正が行われたとのことです。今回はこの法律によって改正されるポイントや、今後について調べて見ました。
法改正前の育児休業制度
以前の育児・介護休業法は以下のような状態です
- 育児休業を取得しやすい雇用環境の整備については、あくまでも企業の努力義務
- 妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対する 個別の周知・意向確認についても企業の努力義務
- 有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件については
(1) 引き続き雇用された期間が1年以上
(2) 1歳6か月までの間に契約が満了 することが明らかでない - 対象期間 取得可能日数は「原則子が1歳 (最長2歳)まで」
- 申出期限は原則1か月前まで
- 分割取得は原則不可
- 休業中の就業については原則就業不可
- 1歳以降の延長については、育休開始日は1歳、1歳半の時点に限定
- 1歳以降の 再取得については、再取得不可
となっております。
男性の育児休業制度のどこが改正されるの?
前項と比較して改正される部分を見て見ます。
- 育児休業を取得しやすい雇用環境の整備については、あくまでも企業の努力義務
改正後 → 努力義務ではなく、法律として義務化 - 妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対する 個別の周知・意向確認についても企業の努力義務
改正後 → 努力義務ではなく、法律として義務化 - 有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件については
(1) 引き続き雇用された期間が1年以上
(2) 1歳6か月までの間に契約が満了 することが明らかでない
改正後 → (1) の要件を撤廃 - 対象期間 取得可能日数は「原則子が1歳 (最長2歳)まで」
改正後 → 変更なし - 申出期限は原則1か月前まで
改正後 → 変更なし - 分割取得は原則不可
改正後 → 分割して2回取得可能 (取得の際にそれぞれ申出) - 休業中の就業については原則就業不可
改正後 → 変更なし - 1歳以降の延長については、育休開始日は1歳~1歳半の時点に限定
改正後 → 育休開始日を柔軟化 - 1歳以降の 再取得については、再取得不可
改正後 → 特別な事情がある場合に限り再取得可能
男性版産休もあるの?育児休業の期間やタイミングが変わる!
産後パパ育休(出生時育児休業)が創設されます。
どのような休業制度かというと、厚生労働省が発行しているパンフレットから抜粋すると下記のような内容になっています。
- 対象期間 取得可能日数は「原則子が1歳 (最長2歳)まで」
産後パパ育休では → 子の出生後8週間以内に 4週間まで取得可能 - 申出期限は原則1か月前まで
産後パパ育休では → 原則休業の2週間前まで - 分割取得は原則不可
産後パパ育休では → 分割して2回取得可能 (初めにまとめて申し出ることが必要) - 休業中の就業については原則就業不可
産後パパ育休では → 労使協定を締結している場合 に限り、労働者が合意した範囲で休業中に就業すること が可能
例えばこういう事です。
例)
”産後パパ育休”は出産の2週間前に申請しておけば使えるので2週間前に申請した。
出産直後にまずは2週間を”産後パパ育休”を利用して休業。
その後1週間だけ職場復帰するも、やはりまだまた乳児の世話は大変なので、さらにもう2週間を取得した。
生後8週を迎えたので、ママが産休から育休に移行した。
パパは”産後パパ育休”の利用期間が過ぎたため、通常の育休制度を使いもう1ヶ月休業を取得する事にした。
パパの育休1回目が終了する頃には、子供も生後3ヶ月を迎え、ママも日々の生活リズムに慣れ始めていたので、パパは1度目の職場復帰をする。
(1回目のパパの育休終了)
生後10ヶ月を迎える頃に、ママの職場復帰、
保育園入園のための諸手続きがあるため、パパは2回目の育休を取得。
子供を1歳から保育園に入園させるつもりだったか、なかなか入園先が決まらないまま
子供が1歳の誕生を迎えた。
そのため、1歳以降の育児休業制度を使い、ママとパパとで交互に育休を取りながら
保育園探し、職場との調整などを行い、そのままの状態を子供が2歳を迎えるまで続ける事ができた。
【男性の育児休業】厚生労働省が発表した義務化の内容
一つ目は
”育児休業を取得しやすい雇用環境の整備の義務化”です。
育児休業と産後パパ育休の申し出が円滑に行われるようにするため、企業側は以下のいずれかの措置を講じなければなりません。
① 育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施
② 育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備等(相談窓口設置)
③ 自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供
④ 自社の労働者へ育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知
二つ目は
”妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対する 個別の周知・意向確認の措置”です。
本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た労働者に対して、企業側は育児休業制度等に関する以下の事項の周知と休業の取得意向の確認を、個別に行わなければなりません。
周知事項
① 育児休業・産後パパ育休に関する制度
② 育児休業・産後パパ育休の申し出先
③ 育児休業給付に関すること
④ 労働者が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき 社会保険料の取り扱い
大企業の取得率公表が義務化
従業員数1,000人超のいわゆる大企業に分類される企業は、育児休業等の取得の状況を年1回公表することが義務付けられます。
男性と女性の育休制度の違い
今回の法改正によって、育休に関して男女差はほとんどなくなったのではないでしょうか。
違う部分として大きなポイントは、出生直後から8週目までに2回に分けて取得できる男性版の産休(出生後から取得可能)が創設されたことです。
まとめ
男性版の産休こと"産後パパ育休"は、産後すぐのもっとも大変な時期に使うことができるため、ポジティブな効果が期待できそうですよね。
筆者にも4歳と2歳の子がいますが、どちらの出産の時も育休が取れなかったためフレックスタイム勤務制度、裁量労働制度、在宅勤務制度をフル活用して、出産直後の時期を妻と共に乗り越えました。
この時の経験が、その後の育児にも効いてきていると思います。
ぜひ今回の記事を参考に育休について調べてみてください!
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