日本人男性の育児参加の現状は?発展途上の日本と育児先進国を比較

育休

昔から日本は「女性は家庭を守り、男性は外で働いてお金を稼ぐ」という風習がありますよね。

昨今では、共働き世帯が増加する背景もあってか、パパもママも共に家庭を守るし、
外で働いてお金を稼ぐ時代になってきているようです。

物事をシンプルに捉えると、今も昔も共通している部分があるように思えます。

それは、時と場合に応じて「夫婦であらゆる物事を分担をして、家族という組織を成り立たせている」という部分です。

ですが、冒頭でも書いた「女性は家庭を守り、男性は外で働いてお金を稼ぐ
という部分だけが、価値観として色濃く残ってしまっている状況もあるようです。

日本の育児参加の現状

日本労働組合総連合会が2019年に公開した”男性の家事・育児参加に関する実態調査2019”によると、

働くパパが 1 週間で家事に費やす時間の平均は6.2 時間

育児に費やす時間は平均で9.3 時間

 

・家事の 1 位は「ゴミ出し」62.5%

・育児の 1 位は「子どものお風呂」37.0%

 

仕事と育児のバランスに関する質問に対しては、

 

・「仕事と育児の両立が理想」と答える人が62.7%

・「実際に両立できている」と回答された方は 30.4%

 

実際に、両立できている方は少ないようです。

しかし、これは日本人男性が怠け者というわけではなく、
仕事を優先しなければいけない労働環境に置かれていることが原因かと思います。

男性の育児参加率を世界と比較

前述では、「労働環境」が原因とお伝えしましたが、
他国とどれほどの差があるか日本人男性と育児先進国と言われるノルウェースウェーデンと育休取得率を比較してみました。

日本人男性の育児参加率(育休取得率)

2020年に厚生労働省が発表した統計では、

育休の取得率は12.7%

一見低く見えますが、2020年に初めて取得率が10%を超えたようです

とはいえまだまだ1割程度のパパしか育休の取得に至っていないのが現状のようです。

 海外の男性の育児参加率(育休取得率)

育児先進国のスウェーデンとノルウェーはどうでしょうか?

・スウェーデンは約85%

・ノルウェーは約83.2%

日本だと考えられない取得率ですが、なぜこんなにも取得率が高いのでしょうか?

育児先進国は制度が充実している

世界でいち早く育休制度を制定した国ですが、
実はスウェーデンもノルウェーも約50年前までは、
専業主婦の多い社会で男性の育休取得率がほぼ0%でした。

日本のように「男は働き、女は家事、育児」の文化が根強く、制度にもさまざまな不備があったようです。

それでも50年かけて育児制度を充実させて、今では90%に近い取得率になっています。

日本のパパが主に担っている家事が「ゴミ捨て」と「お風呂」に対して、
ノルウェーではパパが料理をするという事も珍しくなく、
むしろ料理ができるパパ=かっこいいパパとされる風潮があるようです。

そんな社会全体の雰囲気もまた、パパが家事育児に参加しやすく、
参加したくなるような環境が整っているのだと考えられます。

ただ、日本でも変革が起きる兆しがあります。

それは、育児に関する法改正が進み男性の積極的な育休取得を促進する動きが活発になっていることです。

歴史から見るにまだ日本は発展途上ですが、
「仕事も家事も育児も男女平等が当たり前」
の時代になるのではないかと考えています。

男性が育児参加するメリットと必要性

では、男性が育児に参加する必要性とメリットについて書いていきますね。

育児参加の必要性

あえてこのような表現で書きますが、
ママ一人でこなすにはあまりにも大変で、
負担ゆえに不調をきたす可能性が高くなります。

育児と一言に言っても様々な状況や、あらゆる種類のタスクが存在しますよね。

授乳、おむつ替え、沐浴、寝かしつけ、爪切り、検診などがありますが、
例えば授乳は3時間起きにしなければいけません。
授乳は人によって20〜30分かかりゲップをさせてからおむつ替えをします。

その後ようやく寝かしつけますが、
夜であればママは3時間に1時間半くらいしか寝れません
さらに日中は家事全般と沐浴をしなければならず、
家事は手を抜かないと体が壊れちゃうと思います。

このようにつきっきりで、育児ができるのも長くて2年、
子供が大きくなればある程度自分でできるようになりますが、
共働きが当たり前の時代にいつまでもママに育児を任せっきりは負担が大きいでしょう。

今は、ママも働いているので男性も育児、
家事に参加しなければ子育てが難しいのが現状ではないでしょうか?

育児参加のメリット

こんなに大変なことをやるメリットがあるのかと
世の中の男性は感じるかと思いますが、実は大きなメリットは2つあります。

・負担が分散される

上記のように今の時代、家事、育児をママが全てやるのは難しい時代になってます。

これは育児に限った話ではなく、パパやママが働いている職場でも、
様々な業務をこなす中で、「負荷分散」という考え方があると思いますが、
育児においても同じことが言えます。

一生を共に過ごす伴侶の負担を軽減できれば育児ストレスも無くなり、
楽しみが子供との時間だけではなく、「パパと子供と過ごす時間」に変わるでしょう。

これだけでも、今後の結婚生活を幸せに送ることができると思いませんか?

・子供の成長をリアルタイムで見ることができる

我が子と時間を共に過ごして成長を見守ることができるのは、
ママが育児を頑張ることができるパワーの源です。

確かに育児は大変ですが、それ以上にとっても可愛いくて愛おしい存在です。

そんな愛しい我が子が、昨日までは1人で立てなかったのに、
今日は1人で立つことができた姿を見られるのは何にも変えられない幸せです。
感動すら覚えます。

これを当事者として幸せを感じることができるのは育児をしている人だけです。

まさに子供の成長を見守り喜ぶことが育児の醍醐味と言ってもいいでしょう。

育児は一生に何度も経験できるものではありません。
今後育休を取得できる環境がさらに整っていくと思うので、
ぜひこれから子育てが始まるという方は育休をとってみてください。

もし、ママになる人が見ていたら夫にこの記事を見せてあげてくださいね。

 男性の育休取得が義務化される?取得促進の内容とは

2022年4月から施行される新たな育児・介護休業法では、
以下のことが義務化されることで男性の育休の取得がしやすくなることが期待できます。

義務化されるポイント

・育児休業を取得しやすい雇用環境の整備として雇用主側に課せられる義務

育児休業と産後パパ育休の申し出が円滑に行われるようにするため、
企業側は以下のいずれかの措置を講じなければなりません。

 ① 育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施
 ② 育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備等(相談窓口設置
 ③ 自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供
 ④ 自社の労働者へ育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知

・妊娠、出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対する 個別の周知・意向確認の措置義務

本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た労働者に対して、
企業側は育児休業制度等に関する以下の事項の周知と休業の取得意向の確認を個別に行わなければなりません。

・周知事項

 

 ① 育児休業・産後パパ育休に関する制度

 ② 育児休業・産後パパ育休の申し出先

 ③ 育児休業給付に関すること

 ④ 労働者が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき 社会保険料の取り扱い

 

・大企業の取得率公表も義務化

従業員数1,000人超のいわゆる大企業に分類される企業は、育児休業等の取得の状況を年1回公表することが義務付けられます。

これまで上記の多くの項目は、企業側の努力義務とされていたため、制度の存在自体を詳しく知る機会を得られないままのパパがたくさんいたかもしれませんよね。まだまだ育児先進国に比べたら発展途上ではありますが、大きな転換期でもありますのでこの調子で多くのパパママ達が、制度を活用できるようになると良いですね。

参考資料

男性の家事・育児参加に関する実態調査2019(日本労働組合総連合会)

厚生労働省:育児・介護休業法 改正ポイントのご案内

厚生労働省:知っておきたい 育児・介護休業法

厚生労働省:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の 一部を改正する法律の概要(令和3年法律第58号、令和3年6月9日公布)

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