時短勤務制度はあるけれど…
時短勤務制度を使ってるけれど…
正々堂々と使えるはずの短時間勤務制度、いわゆる「時短勤務」
なぜ多くの利用者が口を揃えて語尾に「けれど…」が付くのか。
今回は育児による時短勤務の実態を調査してみました。
短時間勤務制度について
時短勤務とは、いわゆる「短時間勤務制度」のことで、一日に働く時間を、フルタイム勤務の人より短く設定できる制度のことです。
改正育児・介護休業法では、事業主に対して以下の3つの制度導入を義務付けました。
1.短時間勤務制度
3歳に満たない子を養育する従業員が、1日原則6時間(5時間45分から6時間まで)の時短勤務を利用できるよう制度を整える
2.所定外労働の制限
所定外労働時間を超える残業をさせてはならない
3.介護休暇
介護の必要がある日に仕事を休めるようにする制度を整える
この制度は、平成24年7月に全面施行され、その目的は育児や介護といった理由から通常の勤務時間で働くことが難しい人たちを支えるために施行された制度になります。
時短勤務制度の利点
フルタイム勤務時より圧倒的に時間に余裕が生まれます。
保育園の送迎はもちろんですが、その前後にある諸々の家事・育児なども、時間に余裕を持って行うことができやすくなります。
たとえば朝の子供の身支度の手伝いや、夕食の準備、買い物、洗濯なども済ますことができるでしょう。
対象条件/対象外例
時短勤務を利用する場合の条件
・3歳に満たない子を養育する労働者
・1日の所定労働時間が6時間以下ではない労働者
・日々雇用される者ではない労働者
・短時間勤務制度が適用される期間に、現に育児休業をしていない
・労使協定(労働者と事業主との間で交わされた協定)により適用外とされた労働者でない
対象外の例
・当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
・1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
・業務の性質、実施体制に照らして時短勤務を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者
時短勤務の取り方とは?
時短勤務の申請方法については、基本、事業主側で定めることになっているため、ご自身が勤務する会社の総務部門や、社員サポート部門、イントラネットなどを確認した上で所定の手続きを行っていただく必要があります。
法律上は?
子が3歳以降については、事業主側の努力義務と位置付けられているため、勤める会社によっては子が3歳の誕生日を迎えるとともに時短勤務制度が終了する場合があります。
会社と相談も可能!
事業主側に努力義務とされていることもありますが、例えばフレックスタイム制勤務の活用や、短時間正社員制度という制度もあるので、労働時間について利用できる制度などを具体的に会社に相談をすることも大切です。
時短勤務のメリット・デメリット
メリット
・子供と過ごす時間がフルタイム勤務の時より、より多く確保できるので、子供にとっても家族にとっても良い効果が期待できる
・勤務時間が減ったとしても雇用形態(正規雇用)を保つことができるため生活基盤を盤石に保つことができる
デメリット
・勤務時間が減った分収入が減る
・フルタイムで勤務している人と同じようなの業務量が振られるが、時短しているためフルタイム勤務者よりもこなせる業務量に限界がある
・仕事に全力を注げない
・時短で帰宅する場合でも、まわりから早退しているかのような印象で見られる
・責任ややりがいのある仕事を任せてもらえない
・時短勤務というだけで評価を低くされ、昇進や昇格が遅れる
まとめ
数だけで見ると、デメリットの数がメリットの数を上回ってしまっていますが、その中身を見ると、制度そのもののあり方より、職場での時短勤務に対する理解度や、雰囲気といったものに起因したデメリットが多いように感じられます。
時短勤務制度を利用している働くママさんの生の声として以下のようなものがありました。
「時短勤務だけではやりくりできず、結局有給休暇も活用するが、それでも有給休暇の日数が足りなくなるような状況だ。」
「そもそも時短で定めている時間ぴったりに仕事を終わらせることができない(これは個人の能力うんぬんではなく、そもそもじかんギリギリに業務を振られたり、上司に声をかけられ、無下にできない場合、参加している会議がダラダラを間延びしているがだめも時間を守ろうとしない。会議を止められるような空気でもなく、自分から発言するには相当な勇気が要る)」
「業務をやりきれずに残してしまい、本当に申し訳ない気持ちになる」
「所謂゛小一の壁゛が乗り越えられる自信がない(小学校1年生の子で、学童保育が使えない場合の帰宅時間は遅くても15時頃になるため、時短制度の活用では子の帰宅時間に間に合わない)」
制度やルールが整備されたとしても、正々堂々使える環境があったとしても、
その制度、ルールをより使いやくなるような雰囲気や空気を作ること、作れることが、今後の課題になってくるのだと感じました。
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